アフリカの貧困地域から見える現実~日本人が知らないインフォーマル居住区~
このサイトでは、アフリカの貧困地域から商品や原材料を仕入れることで、直接支援を行っています。その美しい衣装やカラフルなバッグを見ていると、その向こう側にある現実も気になりませんか。今回は、そんなアフリカの代表的な貧困地域(インフォーマル居住区)について、少し詳しくお話ししてみたいと思います。
1. キベラ(ケニア・ナイロビ)- 東アフリカで最も大きなスラム街
場所: ケニアの首都ナイロビ
人口: 20万~25万人ほど(正確な数は分かりにくい状況、80万人以上とも言われています)
広さ: 山手線内側くらいの面積
ナイロビの街から少し離れたところにあるキベラは、東アフリカでも特に大きなスラム街として知られています。とても狭い場所にたくさんの人が住んでいるため、水道や電気などの設備が足りない状況が続いています。
住んでいる人たちの多くは、その日その日の仕事を探しながら生活していますが、そんな中でも素敵な手作りの小物やアクセサリーを作っている女性たちがいます(記事下段のブレスレットの写真をご参照下さい)
使わなくなった材料を上手に再利用して、世界に一つだけの作品を生み出しているところは本当に素晴らしいと思います。
2. マココ(ナイジェリア・ラゴス)- 珍しい水上の住宅街
場所: ナイジェリア最大の都市ラゴス
人口: 2万~8万人程度
特徴: 海の上に建てられた住宅街
ラゴスという大きな街にあるマココは、世界でも珍しい「水上の住宅街」として有名です。海の浅いところに竹や木材で高い床の家を建てて、多くの家族が暮らしています。
住民の皆さんは漁業をしたり、小さなお店を営んだりして生活しています。台風のような嵐や高い波の被害を受けることもありますが、海と共に生きる知恵を代々受け継いでいます。漁師さんたちが網の修理で培った技術を活かして、美しい編み物を作ることもあります。
3. ソウェト(南アフリカ・ヨハネスブルク)- 歴史を背負った街
場所: 南アフリカのヨハネスブルク
人口: 130万人ほど
歴史: アパルトヘイト時代に作られた居住区
ソウェトは、南アフリカの差別政策(アパルトヘイト)の時代に、黒人の方々が住むために作られた地域です。現在は道路や住宅も整備され、音楽やアートの文化がとても盛んな場所として知られています。
ここでは、ズールー族やコサ族といった民族の伝統的な衣装作りが今でも続けられていて、色とりどりのビーズを使った美しい装飾品は見る人の心を魅了します。観光地としても人気で、多くの人がこの街の文化に触れに訪れています。
4. カエリチャ(南アフリカ・ケープタウン)- アートが息づく街
場所: 南アフリカのケープタウン
人口: 40万人ほど
特徴: 南アフリカでも特に大きな居住区の一つ
美しい街として知られるケープタウンの郊外にあるカイリチャも、ソウェトと同じような歴史的背景を持った地域です。カラフルに塗られた小さな家々が並び、街の至る所に素晴らしいストリートアートを見ることができます。
住民の皆さんが力を合わせてコミュニティを盛り上げており、手作りの工芸品を作ることで少しでも収入を得ようと頑張っています。
5. マンシェイェット・ナセル(エジプト・カイロ)- リサイクルの街
場所: エジプトの首都カイロ
人口: 6万人ほど
愛称: ガーベッジ・シティ(ゴミの街)
カイロの郊外にあるこの地域は、住民の多くがゴミの回収やリサイクルの仕事をしていることで知られています。一見大変そうに思えますが、実は彼らのリサイクル技術はとても高く、ゴミを新しい製品に生まれ変わらせる達人たちなんです。
捨てられた材料を使って、実用的で美しい手作り品を作る技術には本当に驚かされます。
厳しい環境だからこそ生まれる創造性
どの地域も決して楽な生活環境ではありませんが、そこに住む人たちの工夫する力や創作する能力には目を見張るものがあります。以下はブラスを再利用して作られたブレスレット。とても素敵ですよね。
限られた材料を上手に使って美しいものを作り出したり、古いものに新しい命を吹き込んだりする技術は、私たちも学ぶべきところがたくさんあります。
アフリカの気候に合わせた服装の知恵
アフリカの多くの地域は一年中暑く乾燥しているため、現地の人たちの服装にはたくさんの工夫が込められています。
コットンやリネンといった風通しの良い素材を使ったり、体に風が通りやすいゆったりとしたデザインにしたりと、暑さから身を守る知恵が詰まっています。こうした伝統的な知識は、現在作られているファッションアイテムにもしっかりと受け継がれています。
私たちにできること
適正な価格で購入する
現地の職人さんが作ったサイザルバッグや民族衣装を、安すぎず高すぎない適正な価格で購入することで、作り手の生活を直接支えることができます。
文化を知る努力
アフリカには54もの国があり、それぞれに独特な文化があります。一つ一つの商品の背景を知ることで、より深い理解と応援につながります。
環境に優しい選択
古い材料を再利用したアクセサリーや、天然素材を使った製品を選ぶことで、地球環境と現地の人々の両方を支援できます。
教育や技術支援への関心
現地の人たちが新しい技術を学んだり、ビジネスを始めたりするための支援プロジェクトに関心を持つことも大切です。
おわりに
貧困地域の現実を知ることは時として重く感じられるかもしれませんが、そこに住む人々の前向きさや創造性には本当に感動させられます。
私たちがアフリカの美しい雑貨やファッションアイテムを手に取るとき、その向こうにいる作り手の方々の想いや努力を少しでも感じることができれば、きっとその商品がもっと特別なものに感じられると思います。
正しい情報を知った上で、現地の文化を大切にしながら、持続可能な形でアフリカの皆さんを応援していけたらいいですね。小さな一歩でも、続けていけばきっと大きな変化につながるはずです。
代表 辻 薫