「3分で読める」ナイジェリアってどんな国?
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「ナイジェリア」と聞いて、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
なかなか、馴染みのない国かもしれませんが、まずは基本的な数字から、この魅力的な国を覗いてみましょう。
まずは数字で見る「アフリカの巨人」
人口・地理統計
経済統計
出典: ナイジェリア統計局(NBS)、IMF 等
石油資源に恵まれ、人口がアフリカで一番など、「アフリカの巨人」とも呼ばれるこの国。豊かな文化と美しい伝統がある一方で、様々な現実とも向き合っています。
250以上の民族が織りなす文化
主要民族構成

民族名 | 人口割合 | 主な居住地域 | 特徴 |
---|---|---|---|
ハウサ族 | 約30% | 北部 | イスラム教徒が多く、商才に長けているといわれています |
ヨルバ族 | 約20% | 南西部 | 芸術文化が花開く、美の創造者たち |
イボ族 | 約15% | 南東部 | 教育熱心で起業家精神旺盛 |
その他 | 約35% | 全国 | 250以上の個性豊かな民族 |
出典: ナイジェリア国家人口委員会、CIA World Factbook
それぞれの民族が持つ独自の文化と伝統が、現代ナイジェリアの豊かな文化的土壌を育んでいます。
ちなみにラゴスではヨルバ族が最も多く住んでいます。
世界を魅了する美しい伝統織物の世界
アンカラ(Ankara)
カラフルで大胆な幾何学模様が印象的なワックスプリント生地。もともとはオランダで作られていましたが、今ではナイジェリア女性のアイデンティティそのもの。
アディレ(Adire)
出典 Wikipedia
ヨルバ族の伝統的な防染技法で、「アディレ」は「縛って染める」という意味。職人の手作業によって生み出される独特の模様は、まさに一点もの。同じものは二つとして存在しません。
アソオケ(Aso oke)
出典 Wikipedia
手織りの伝統的なストライプ柄の布。世界中のヨルバ族は、特別な機会にアソ・オケの布を身に着けます。これには、祝祭日、結婚式、葬儀、首長の称号授与式などが含まれます。
ナイジェリアの現実
経済成長の中の格差
多次元貧困率(※)は63%、所得貧困率は40%という厳しい数字も。豊富な天然資源がありながら、その恩恵がまだ国民全体には行き渡っていないのが現状です。
※多次元貧困率とは健康、教育、生活水準に関する加重指標のうち、少なくとも3分の1で貧困状態にある人々を指します。
若い世代が抱える課題
全体の失業率は2023年の世界銀行発表では約3.1%と言われていますが、若年層の失業率はそれよりも多く、一説では約32%と言われています。大学を卒業しても仕事に就けない若者が多くいます。
水上スラムマココ
アフリカ最大の水上コミュニティ
ラゴス湾に浮かぶ水上集落「マココ」をご存知でしょうか?数十万人~100万人が暮らすと言われているアフリカ最大の水上コミュニティです。
19世紀にベナン共和国から移住してきた漁師たちが築いた集落で、現在では多くの人々が高床式の家屋で暮らしています。
マココでは、水上に浮かぶ学校、教会、市場があり、カヌーが大切な交通手段。電気や上下水道といった基本的なインフラは不十分ですが、住民たちは互いに助け合いながらコミュニティを形成しています。
私たちが当たり前だと思っている生活とは全く違う環境の中で、人々が支え合って生きている姿に、深く心を動かされます。
立ち退きという現実
2012年には政府による強制立ち退きが行われ、多くの住民が住む場所を失いました。現在も開発計画により立ち退きの脅威にさらされていますが、住民たちは粘り強く生活を続けています。
都市開発と住民の権利。これは世界中の都市が抱える課題でもありますが、マココの人々の状況は特に複雑で心が痛みます。
当店ではマココで販売されるアンカラを活用したアイテムによって、支援を行っています。
音楽が運ぶメッセージ
ナイジェリア出身のアーティストが歌うアフロビーツはとても有名な音楽ジャンル。Burna BoyやWizkidなど、世界的に有名なアーティストもナイジェリアでは多く輩出しています。
そして絶対に忘れてはいけないのがアフロビートの祖、フェラクティ。
彼らの音楽からは、故郷への愛情と世界への発信力を感じます。音楽を通じて自分たちの文化を世界に伝えている姿に、とても勇気をもらいます。
まとめ
ナイジェリアは、美しい文化と厳しい現実が共存する国です。マココの水上集落で暮らす人々の逞しさ、伝統的な布づくりに情熱を注ぐ職人たちの技術、そして新しい時代を切り開こうとする若者たちの意欲。
すべてが現代ナイジェリアの真の姿であり、私たちが学ぶべきことがたくさんあります。
代表 辻 薫