木更津×ナイジェリアで炎上!ナイジェリア人の特徴について語る
2024年8月、千葉県木更津市がJICA(国際協力機構)によってナイジェリア連邦共和国のホームタウンに認定されました。しかし、この本来お互いに手を取り合うはずのニュースは、残念ながら大きな誤解と混乱を招くことになりました。
「野蛮なアフリカ人にわが町が乗っ取られるのではないか」ともし思ったら、気が気ではないでしょう。
誤解から生まれた炎上騒動
SNSで「移民受け入れ」という誤情報が拡散し、木更津市には1000件を超える抗議の問い合わせが殺到しました。この混乱の原因は、ナイジェリア政府が「技術のある才能豊かなナイジェリアの若者が、木更津市で暮らし、働くための特別ビザを日本政府が創設する」と発表したことと、木更津市側が「移住や移民の受け入れにつながるような取組ではない」と完全否定したことの齟齬にありました。
※ナイジェリア政府も発表を撤回しています。
ここで、ナイジェリアの人が恐ろしい、野蛮だと思われている原因についてまず挙げたいと思います。
私的偏見1 ナイジェリア人の「議論好き」という特徴
正直に申し上げると、私自身も現地ナイジェリアでナイジェリア人と接する機会があった際、「3人集まると口論が始まる」という印象を持ったことがあります。
彼らは非常に情熱的で、自分の意見をはっきりと表現することを大切にする文化があります。しばしば、「こんなんで盛り上がるのか、うざっ」と思うこともあります。
しかし、この「議論文化」の背景にあるのは、多民族・多言語国家で育った環境で培われた「多様な価値観を調和させる知恵」なのです。
250以上の民族が共存するナイジェリアでは、異なる意見や価値観を持つ人々との対話は日常的なこと。議論を通じて相互理解を深めることが、自然と身についているのです。
確かに声が大きくなったり、身振り手振りが激しくなったりしますが、これは「あなたの意見を真剣に聞きたい」「私の想いも理解してほしい」という、心からのコミュニケーションへの渇望なのです。たまにこれが面倒なんですが...。
私的偏見2 世界最強?ナイジェリア人の「コミュニティ力」
Extended Family System(拡大家族制度)
ナイジェリアでは、血縁関係だけでなく、友人や近所の人々も含めた「拡大家族」の概念が根強く残っています。困った時には必ず誰かが手を差し伸べてくれる、そんな安心できるネットワークが自然に形成されているのです。
海外留学や移住をするナイジェリア人の多くは、現地のナイジェリア人コミュニティからサポートを受けます。住む場所の紹介、仕事の斡旋、子どもの面倒など、まるで本当の家族のように助け合うのです。
「商売の天才」と呼ばれる起業家精神
ナイジェリア人は「商売の天才」とよく言われます。多民族・多言語国家で育った環境が、自然に「多様性の中でサバイバルする力」を育んでいるからかもしれません。「Try and Error」を恐れず、失敗から学ぶことを大切にする文化があります。
しかし現地で直接交渉をしていると、正直、吹っ掛けてきたりして、抜け目がないのが垣間見えるのでこちらとしては大変です(汗)
私的偏見3 色彩豊かなライフスタイル
ファッションに込められた哲学と日本人がとらえる印象
ナイジェリア人が鮮やかな色彩を好むのには、深い意味があります。アフリカの厳しい自然環境の中で、色彩豊かな服装は「生命力」「希望」「喜び」を表現する手段なのです。単なるおしゃれではなく、困難に負けない強い心を表現する手段として、ファッションを活用しているのです。
派手だから、正直怖いと思う日本人もいると思います。
だって日本人はモノトーンばかりの服装ですからね。
「何あの人?」って思う人が、多いかもしれません。
一方で、場面に応じた装いの使い分けも非常に上手です。仕事の時はスーツ、家族の集まりでは伝統衣装、カジュアルな場面ではモダンなアフリカンプリント...それぞれの場面で最適な装いを選択する感覚は、まさにファッションセンスの高さを物語っています。
ちなみにナイジェリアの商都ラゴスは、「アフリカのニューヨーク」と呼ばれるほどアートやファッションが盛んです。
意外ですが食文化では、分かち合いの精神がある
ナイジェリア料理の特徴は、大皿で分け合って食べることです。ジョロフライス、フフ、プランテーンなど、どれも家族や友人と一緒に楽しむことを前提とした料理が多く、食事の時間は単なる栄養補給ではなく、コミュニケーションを深める大切な時間なのです。
こんな違いがあるから、ナイジェリアって違うって思う人が多いのではないでしょうか。一方、日本人とも共通点があるので、そちらもお伝えします。
私的偏見4 日本人との意外な共通点
年長者への敬意・おもてなしの心
ナイジェリア文化では、年長者を敬うことが非常に重要視されます。これは日本の「年功序列」や「長幼の序」と通じるものがあります。
客人を家に招いた時の手厚いもてなしは、日本の「おもてなし文化」に通じるものがあります。
具体的な例を。
家に招かれたわけではないのですが、ラゴスのグラウンドでナイジェリア人の警備に絡まれたことがあります。その際、私の立場と事情を根気よく説明したところ、責任者の方から「本来、外国から来たあなたを敬う必要があるのにこのような不便な思いをさせてすまない」「ここはスポーツクラブなのだから、紳士的であるべきであった」と謝罪を受けました。
最初は「ナイジェリア人って本当に野蛮だな」という印象があったのですが、そんなことはないと心境変化した例です。
ではここから、実際にナイジェリア人にあったらどうしたらよいのかについてお伝えします。
もし日本でナイジェリアの方と出会ったら
今回の炎上騒動を経て、「実際にナイジェリアの方と出会った時、どう接すれば良いのだろう?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、心配は無用です。自然体で接するのが一番です。
基本的な接し方
普通に挨拶から始めましょう - 「Hello」や「こんにちは」で十分です。多くの方は英語を話せます。
相手の名前を正しく覚える努力を - 正しく発音しようとする姿勢を見せると、とても喜ばれます。
議論になっても慌てない - 前述の通り、ナイジェリア人は議論好きです。もし意見の違いで話が熱くなっても、それは敵意ではありません。
時間感覚の違いを受け入れる - 「アフリカンタイム」と呼ばれるように、時間に対する感覚が日本人と少し違う場合があります。ポレポレ。
避けた方が良いこと
「アフリカって暑いでしょう?」「ライオンはいるんですか?」といったステレオタイプな質問は避けましょう。また「アフリカ人」として一括りにするのではなく、「ナイジェリア人」として接することが大切です。
至って普通なのです。
しかし悲しいのは、どの国にも、変な人、危ない人がいること。
もし万が一、このナイジェリア人は危ないなって直感で思ったら、逃げてください。
誰もが「いい人」って思うのは、危機管理上良くありませんので、そういう人もいると認識してください。
まとめ 真の国際交流への道
今回の炎上騒動は、確かに残念な出来事でした。しかし、この経験こそが、真の国際交流について考えるきっかけになるのではないでしょうか。
「どこまで受け入れて、受け入れないか」
元々のコミュニティがあるわけですから、そこにナイジェリアからの移民を大量に認めて町全体が乗っ取られる?ような方向になると、問題と思います。
一方で、既に正式に住んでいらっしゃる善良なナイジェリア人との関係は別です。彼らがとばっちりを食らわないような対応が必要だと思います。
(大前提として、犯罪を犯すような人は論外です)
そしてこの騒動自体は、もっと早く市民に伝え、トップだけで決めるのではなく、市民にも賛否を問い、十分議論した上で、発表すべきだったのではないかと思います。
ファッションでも繋がることができるー心の交流
私たちがアフリカンファッションや雑貨を手に取る時、それは単なるお買い物ではありません。遠く離れたアフリカの大地で、愛情を込めて作り上げられた一品一品には、作り手の想いが込められています。
サイザルバッグを持つ時、アップサイクルアクセサリーを身につける時、私たちは知らず知らずのうちに、アフリカの人々の生き方や価値観に触れているのです。ぜひこの騒動をきっかけに彼らの文化も見てほしいと思います。
代表 辻 薫