ものづくりと大量生産について語る
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KARL&Cで販売しているアフリカアンカラスリッパのこだわり、「ものづくり」についてお伝えしたいと思います。
ものづくりって何がいいの?
「ものづくり」って聞くと、なんだか職人さんの世界って感じがしますよね。でも実際、職人さんが作るものって、ただの製品とは全然違うんです。そこには作る人の心意気や、長年培ってきた技術、そして使う人のことを本気で考えた想いが詰まっています。
私どもの「ものづくり」も一緒です。創業77年を誇る東京下町の老舗メーカー東京産業株式会社と提携し、スリッパを「ものづくり」しています。
東京産業では、
「どうしたら安くなるか、ではなく、どうしたらよくなるか。
わたしたちが目指しているのは、
また次も履きたいと思っていただけるものづくりです。」
「何十キロもある体重をしっかり支えてくれる、適度な硬さのある中板、長く履いても履き口がへたらないつくりの工夫、そして、何十回も改良を重ねてたどり着いた絶妙なつま先の反り具合。一人でも多くの方に日本製スリッパの良さを知っていただき、心地よい生活をデザインしていくこと」
これらの理念を元に、77年もの間スリッパ一筋、日本中にファンを持っている日本最高品質のメーカーの一つと言えましょう。老舗百貨店にも、卸しています。
商品が売れないと売上が上がりません。
すぐに買ってもらえるに越したことはありませんが、
「スリッパが3年も保ったのよ」という声をこの前いただいたとき、それが本当に嬉しかった」
そのように社長は笑顔で語ってくれました。
良いものを長く使い続けられる、ということが「ものづくり」の重要な定義だと私は思っています。
そして、職人さんが一つひとつ手で作るものには、機械では絶対に出せない温かさや細かさがあります。京都の陶器職人さんがろくろを回して作る茶碗、刃物職人さんが何日もかけて叩いて作る包丁、家具職人さんが木の性質を見ながら組み立てる椅子など。
こういうものって、ただの道具じゃなくて、使う人の暮らしに本当に馴染んでくれるんですよね。「品質」も妥協なしで、何十年も、時には親から子へと受け継がれるほど長持ちします。ここでいう「品質」って、見た目がきれいとか今すぐ使えるとかじゃないんです。
材料選びから始まって、作り方の丁寧さ、仕上げの美しさ、そして長く使っても大丈夫な頑丈さまで、全部にこだわりが詰まってるんです。
職人さんは自分の名前に恥じないものを作ろうとするから、その責任感が品質へのこだわりを生み出すんですね。
大量生産品はどうなの?
一方で、今の世の中にあふれてる大量生産品は、とにかく効率よく安く作ることが一番の目標なんです。工場のベルトコンベアでどんどん作られる製品は、確かに同じ品質で安く手に入るけど、その代わりに個性や長持ちする力を失ってしまってるんですよね。
大量生産品の困ったところは「わざと壊れやすく作ってる」ことなんです。
(もちろん、全部ではない)
これを「計画的陳腐化」って言うんですが、要するに長持ちしすぎると次の商品が売れないから、わざと数年で壊れるように設計してるんです。代表的なのはスマホ。
家電は数年で調子が悪くなるし、
服は何回か洗濯したら色が落ちたり形が崩れたり、
家具も数年で傷んでくる。
これって偶然じゃなくて、また買ってもらうための戦略なんです。
値段競争が激しくなると、どうしても材料の質を下げたり、作り方を手抜きしたりすることになってしまいます。人件費の安い国で大量に作って、品質チェックも最低限の基準をクリアするだけ。
結果的に、同じような機能の商品でも、寿命や品質に大きな差が生まれてしまうんです。
結局どっちがいいの?
長い目で見れば、どちらが本当に価値があるかって明らかですよね。質のいいものを一つ長く使い続ける方が、資源も無駄にならないし環境にも優しいんです。職人さんが作ったものは、壊れても修理ができて、きちんと手入れすれば何世代も使えるんです。
逆に大量生産品の短いサイクルは、すごい量のゴミを作り出して、資源をどんどん無駄遣いしてしまいます。本当の豊かさって、安いものをころころ買い替えることじゃなくて、いいものを大切に長く使うことじゃないでしょうか。
ものづくりの心を今の時代に活かすことは、これからの持続可能な社会を作るためのヒントだし、私たち消費者が本当に価値のあるものを見極める目を養うきっかけにもなります。
安いからって飛びつくんじゃなくて、長く愛用できるかどうかを考えて選ぶ。そんな買い物の仕方が、結果的に地球にも財布にも優しいライフスタイルにつながっていくと私は思います。
代表 辻 薫