なぜKARL&Cは「アフリカの布×日本の技術」を選んだのか

KARL&Cが誕生したのは、2025年2月。私たちは、ナイジェリアで生産されるアンカラ等の生地をラゴスにある水上集落「マココ」で仕入れ、東京を中心とした日本のマニュファクチュアでバッグやスリッパを製作しています。縫製や細部の設えにこだわった、最高クラスの仕上がりを実現しています。

なぜアフリカ製ではなく、日本製を選んだのか

「貧困地域への支援を謳っているのであれば、製造もアフリカで行う方が良いのではないか」——そう思われる方も多いでしょう。実際、私自身も最初はそのように考えていました。現地で製造すれば、より多くの雇用を生み出せるからです。

しかし、現実は理想とは異なりました。日本の消費者が納得できる品質(縫製技術や耐久性など)のアフリカ製商品を見つけることは、想像以上に困難だったのです。もちろん、他社が手がける素晴らしい商品も存在しますが、私たちが目指す品質基準を満たすものは稀でした。

スモールカンパニーが直面した現実的な壁

自社製品として納得のいく品質を実現するには、現地に長期間滞在し、技術指導やインフラ整備に相当な時間とコストを投じる必要があります。スモールカンパニーの私たちにとって、それは現実的な選択肢ではありませんでした。

それでも「どうにかして貧困地域を支援したい」という思いは変わりません。そこで辿り着いたのが、現在のビジネスモデルです。

「原材料調達×技術提携」という解決策

私たちが選択したのは、原材料(アフリカ布)を貧困地域で仕入れ、世界最高峰の技術を持つ日本企業に製造を委託するという方法でした。

この仕組みには明確な狙いがあります。まず、高品質な製品を通じて日本のマーケットに受け入れてもらうこと。そして、製品を手に取った方々に「マココ」という貧困地域の存在を知ってもらうこと。これが、持続可能な支援への第一歩になると考えたのです。

理想と現実のバランス

理想を言えば、アフリカ現地でも私たちの提携企業と同じクオリティレベルの生産ができれば最も望ましい形でしょう。しかし現段階では、この「アフリカの素材×日本の技術」というアプローチが、品質への妥協なく貧困地域支援を実現する最適解だと確信しています。

結果として、KARL&Cは自信を持って製品を提供できるブランドとなり、真の意味での社会貢献へのきっかけや道筋を築くことができました。次なる展開はまたのお楽しみを。

代表 辻 薫

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