【責任ある大人向け】ファッションを選ぶうえでこれからの時代に求められること
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日々の暮らしを彩るファッション。クローゼットを開けば、そこには様々な洋服やバッグが並んでいることでしょう。でも、これらのアイテムが作られる過程や、手放した後のことを考えたことはありますか?
ファッション業界は地球環境に大きな影響を与えていることが明らかになっています。この現実を知ったうえで、私たちはどのような選択をしていけばよいのでしょうか。
ファッション業界が抱える現実
現在のファッション業界は、非常に多くの温室効果ガスを排出しています。
これは国際航空業界と海運業界を合わせた数よりも膨大と言われています。
なんで?って思いますよね。
それは糸をつむいだり、生地にしたり、染めたりする際に大量のエネルギーが必要になるからです。
世界の主流となっているアジアに位置する低コストの生産工場では、安価な石炭などで発電されたエネルギーを活用していることも大きな要因です。製品が作られてから届くまでの輸送距離が長いのも影響しています。
また、繊維生産に使われる水の量は年間約930億立方メートル—これは日本全国の家庭が約5年間使う水に相当するほど膨大で、洗濯の度に目に見えない小さな繊維が海に流れ出ているのです。(Ellen MacArthur Foundation, 2017)
日本では、街を歩けば至る所に洋服店があり、毎日のように新しい服が店頭に並びます。実際、年間約82万トンもの衣服が供給されているのです。それほど多くの服が作られている一方で、私たちの多くは1年もしないうちに服を手放しています。
そして驚くことに、手放された服(約79万トン)の3着のうち2着は、誰かに譲られることなく、そのまま捨てられてしまうのが現実です。(経済産業省「繊維産業の課題と経済産業省の取組」令和2年)
これらの数字が示すのは、「大量生産・大量消費・大量廃棄」というシステムの限界です。
これからの時代に求められる5つの視点
1. 今持っている服やバッグを長く大切に使う
まず大切なのは、すでに持っているアイテムとの「長いお付き合い」です。気に入った一着、愛用のバッグを丁寧にメンテナンスし、お直しやリペアを活用することで、愛着がさらに深まります。
大人だからこそ、質の良いものを長く使い続ける豊かさを実感できるのではないでしょうか。
2. リユースという新しい楽しみ方
古着やセカンドハンドのアイテムには、新品では出会えない「デッドストック」にであえる魅力もあります。
最近ではサブスクリプションやレンタルサービスも充実し、「所有しない」という新しいファッションの楽しみ方も広がっています。特別な日のためのバッグをレンタルしたり、季節限定でアイテムをシェアしたりと、選択肢は豊富です。
3. 本当に必要かを見極める買い物
購入前に「本当に必要か」「長く使えるか」を考える習慣を身につけましょう。流行に左右されすぎず、自分のライフスタイルに合った品質の良いものを選ぶことで、結果的に経済的にもメリットがあります。
4. 作られ方を知る透明性
衣服やバッグがどこで、どのように作られているかを知ることも重要です。環境に配慮した素材を使っているか、働く人々の労働環境は適切かなど、製品の背景を確認することが、より良い選択につながります。
例えば、アフリカ布を使ったアイテムなら、その布の持つ文化的背景や、職人さんたちの技術、フェアトレードの取り組みなどを知ることで、製品への愛着も深まります。アフリカの豊かな色彩と伝統的な技法で作られた布は、大量生産では表現できない温かみと個性を持っています。
5. 循環を意識した選択
使わなくなったアイテムを適切に手放すことも大切です。店舗での回収サービスを利用したり、古着として次の人に譲ったりすることで、資源の循環に参加できます。また、リサイクル素材を使った製品を選ぶことで、循環型の経済を支援することもできます。
私たちにできること
人生経験を重ねられた方にこそ、本当に価値のあるものを見極め、丁寧な暮らしを実践できると考えます。これはどれだけ他者を思いやれるのか、と一緒です。
私は、「ファッションは、他者を思いやるもの」と考えております。
自己表現の裏側に、環境との関係性、生産者や他者とのストーリーなどが含まれており、サステナブルな視点が重要なこれからの時代には、ますます求められていくと考えています。
代表 辻 薫