長井市×タンザニア交流で炎上!?「3分で分かる」タンザニア人の穏やかな魅力と「ポレポレ」な生き方
2025年8月、山形県長井市がJICA(国際協力機構)によってタンザニア連合共和国のホームタウンに認定されました。しかし、この友好的な取り組みが思わぬ騒動を巻き起こすことになりました。
↓私たちのイメージするタンザニア
↓現実は大都会も!ダルエスサラーム(500万人超が住む)
まずはなぜ炎上したのかについて整理します。
「長井市をタンザニアに捧げた」誤報で大炎上
タンザニアの英字紙「タンザニアタイムズ」が「Japan dedicates Nagai City to Tanzania(日本は長井市をタンザニアに捧げた)」という見出しで報道。「長井市がタンザニアの一部になる」「移民の受け入れには反対」といった抗議が500件以上殺到しました。
出典:CNET Japan
この誤報の原因は「dedicate」という英語の解釈の違い。実際には「長井市をタンザニアのホームタウンに指定した」という意味でした。木更津市のナイジェリア認定と同じく、情報の伝達ミスから生まれた騒動です。
そしてタンザニア人がどういう方なのか、どのような国なのかをお伝えしたいと思います。
タンザニア人 vs ナイジェリア人:真逆の国民性
ナイジェリア人が「議論好き」で「情熱的」なのに対し、タンザニア人は「ポレポレ(ゆっくり)」で「穏やか」な国民性で知られています。
「ポレポレ」に学ぶ心豊かな生き方
タンザニアでよく耳にする「ポレポレ」は、単に「ゆっくり」という意味ではありません。「急がず、焦らず、自分のペースで」「無理をしないで」「心配しないで」といった人生哲学が込められた深い言葉です。
効率や速度を重視しがちな現代において、本当に大切なことは何なのかを改めて考えさせてくれます。
多民族調和の成功例
タンザニアには100を超える部族がありますが、ナイジェリアと違って宗教や民族による激しい対立は少なく、比較的平和に共存しています。この平和な共存の秘訣は、タンザニア人の「相手を受け入れる寛容さ」と「対立よりも調和を重視する価値観」にあります。
タンザニア人の温かい人間性
「カリブ(歓迎)」のおもてなし文化
タンザニア人は客人を迎える時、「カリブ!(ようこそ!)」と心から歓迎してくれます。どんなに貧しい家庭でも、持っているものを惜しみなく分けてくれる温かさがあります。この「相手を大切にする心」は、日本人の「おもてなし精神」と共通するものがあります。
「ウジャマー(家族主義)」の精神
タンザニアの初代大統領ニエレレが提唱した「ウジャマー」は、「家族のように助け合う」という共同体主義の考え方。個人の利益よりもコミュニティ全体の幸せを重視する価値観が、今でも根強く残っています。
※しかし、これは社会主義の考え方で理想は高かったものの、実際には困難が多く発生し、農業生産は低迷し、食料不足が深刻化。最終的に、1970年代末には経済危機が顕在化し、1980年代にIMFや世界銀行の指導のもと市場改革に転換しました。
そして素敵な文化ももちろんあります。
色彩豊かなタンザニア文化
世界に誇る伝統工芸
マコンデ人のシェタニ(精霊)をモチーフとした黒檀の彫刻は、タンザニアを代表する芸術品です。繊細で美しい木彫り作品は、職人たちの魂が込められた一点ものです。
音楽に表れる平和への願い
ボンゴフレーバーやモダン・タアラブなど、多様な音楽文化があります。これらの音楽には、平和を愛し、調和を重視するタンザニア人の価値観が表現されています。
ではこの騒動の中、日本でタンザニア人と会ったらどうしたらよいでしょうか。
もし日本でタンザニア人と出会ったら
今回の炎上騒動で不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、タンザニア人は非常に穏やかで親しみやすい人々です。
基本的な接し方
「ジャンボ!」で挨拶 - スワヒリ語の「ジャンボ(こんにちは)」で挨拶すると、とても喜ばれます。
ゆったりとした会話を楽しむ - 「ポレポレ」の文化通り、急かすことなく、ゆっくりと会話を楽しみましょう。
家族や故郷の話を聞く - キリマンジャロ、セレンゲティ、ザンジバルなど、美しい故郷について聞いてみてください。
キリマンジャロ
ザンジバル
避けた方が良いこと
ナイジェリアのページでも言いましたが、「アフリカ人」として一括りにせず、「タンザニア人」として接することが大切です。ステレオタイプな質問(「街中にライオンはいるの?」など)も避けましょう。
日本人あるあるなので、気を付けてくださいね。
日本人とタンザニア人の共通点
協調性と自然への敬意
タンザニア人の「ウジャマー」精神と日本人の「和」の文化、タンザニア人の自然崇拝と日本人の自然観には、通じるものがあります。個人よりもコミュニティ全体の調和を大切にし、自然と共生していく姿勢は、両文化が共有する美しい特徴です。
「ポレポレ」な国際交流を
今回の炎上騒動は残念でしたが、これを機に真のタンザニアの魅力を知るきっかけになればと思います。
重要なのは、市民への十分な説明と透明性のある意思決定プロセスだったのではないでしょうか。既に日本に住んでいらっしゃる善良なタンザニア人の方々がとばっちりを受けることのないよう、正しい情報に基づいた冷静な判断が必要です。
代表 辻 薫